五十嵐耕平監督 『息を殺して』

【ある種のホラー映画特集】

3/14(月)-3/17(木) 19:00/21:00
3/21(月)-3/24(木) 21:00

五十嵐耕平監督
『息を殺して』(2014/85分)

第67回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門ノミネート!!
2017年の大晦日を舞台に、言いようのない閉塞感を描き出し、オリンピック前夜の日本を独自の感性で予言する。

<予告編>

五十嵐耕平という日本人監督の名前は覚えておかねばならない。諏訪敦彦と黒沢清のもとで学んだ彼は『息を殺して』という作品において、独自のやり方でみずからの世代の不安を語ってみせる。成熟しようとする日本の若者たちはまるで亡霊のようなものだと。これは幽霊映画に見せかけながら、親密さについての紛れもない証明書である。
Nicholas Elliott – カイエ・デュ・シネマ

近未来の、戦争が日常に溶け込んだ日本という舞台設定が、自分のアルバムと似ていて共感が湧いた。舞台となる自動制御された工場内は間断ないインダストリアルノイズに満ち、そのなか を浮かんでは消える思念と話し言葉は控えめでぎこちないもので、いま日本人が息を殺して進も うとするこの日常をより強く静かにあぶりだす映写光源のように明滅する。邦画を観ていて違和 感なく心に溶け込んできた作品は久しぶりで、これから現れてくる新しい映画のことも思わせてくれた。世の中はさらに閉塞を増しているというのに、なんだかわくわくする。けして派手な作 品ではないのに、奇妙な高揚を植えつけてくれる。映画が持つ本来的な力を感じた。
七尾旅人 – ミュージシャン

<あらすじ>
東京オリンピックを約二年後に控えた2017年12月30日。ゴミ処理工場に一匹の犬が迷い込む。事務のタニちゃん(谷口蘭)は犬を探すが見つからない。夜勤を終えたケン(稲葉雄介)はこの日非番のゴウ(嶺豪一)とTVゲームをして遊んでいる。足立さん(足立智充)は帰ろうとせず、 ヤナさん(原田浩二)は新年の飾り付けに勤しんでいる。しかし彼らは皆同じような問題を抱えていたのだった。妊娠、不倫、家族、戦争で死んだ友達。そんな中、 足立さんとの不倫関係に思い悩むタニちゃんだったが、いつしか既に死んだはずの元工場長の父親(あらい汎)が、この場所にいるのではないかと感じ始める。

2014年/カラー/DCP/5.1CH/アメリカンビスタ/85分
監督・脚本 五十嵐耕平
キャスト:谷口蘭,稲葉雄介,嶺豪一,足立智充,原田浩二
プロデューサー:大木真琴 加藤圭祐 助監督: 廣原暁 撮影/照明 :髙橋航 録音/整音 :稲村健太郎
編集: 姜銀花 美術:河股藍 衣装: 谷本佳菜子 ヘアメイク:光岡真理奈(Atelier ismR)
音楽:Sleepy Lemon + YSD & The Tinker
制作助手: 石田晃人 宮川万由 助監督: 山下洋助 久保寺晃一 撮影助手:殿村亮 照明助手:ジュレット・アイレット 平野礼 松井宏樹 録音助手: 安田拓郎 高島知哉 魚野智生 音響効果: 渋谷圭介(Cinema Sound Works) 美術助手: 呉思斉 髙島悠 記録: 周暁倩 広告デザイン:山本アマネ
翻訳:金毓嘉 ショーン・カレン

<オフィシャルWEBサイト>
http://ikikoro.tumblr.com

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<監督プロフィール>
五十嵐耕平 Kohei Igarashi

igarashi
1983年静岡県生まれ。東京造形大学卒業、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻 監督領域修了。映画監督の諏訪敦彦氏や黒沢清氏のもとで映画を学ぶ。大学在学中に制作した『夜来風雨の声』は、シネマ・デジタル・ソウル2008にて韓国批評家賞受賞。劇場公開オムニバス作品『恋につきもの』の一篇『豆腐の家』を監督。『息を殺して』は第67回ロカルノ国際映画祭 新鋭監督コンペティション部門に正式出品される。